おさらい
作業の概要を説明する前に、作成するUSB起動のLinuxの要件(満たすべき性能)を以下に再度掲載しておきます。
- Windows 8.1世代のPCでも30秒以内にログイン画面が表示されること
- セキュアブートが有効なPCでも起動できること
- 永続化できること(実施した作業や変更内容が次回起動時に引き継がれること)
- 起動時に永続化する/しないを選択できること
- 終了時に差分を永続化領域に保存するか/破棄するかを選択できること
- 起動用USBフラッシュメモリ内にデータ用パーティションを確保できること(文書の保存やWindowsとのデータの受け渡し)
本ウェブサイトで実施する作業の概要
本ウェブサイトで解説している "USBフラッシュメモリから起動するLinux環境の構築" では、以下の作業を実施します。
- USB1に起動メディア(一時的)を作成する
- USB1の起動メディア(一時的)から起動する
- USB2に起動メディア(作業用)を作成する
- USB2の起動メディア(作業用)から起動する(永続化有効)
- 新たな標準ユーザの追加と初期の標準ユーザ(demo)の削除
- 自分好みにカスタマイズする
- 新たなISOイメージファイルを作成する(リマスタ)
- USB1に起動メディア(本利用)を作成する
それぞれの作業を、以下でもう少し詳しく見てみましょう。
USB1に起動メディア(一時的)を作成する
MX Linuxの公式サイトからISOイメージファイルをダウンロードし、USB1に書き込んで起動メディア(一時的)を作成します。
なお、ダウンロードしたISOイメージファイルをUSB3に複製しておきます。 後で利用するためです。
USB2に起動メディア(作業用)を作成する
USB3に複製しておいたISOイメージファイルをUSB2に書き込んで起動メディア(作業用)を作成します。 作成したらMX Linuxを終了します。
新たにUSB2にも起動メディア(作業用)を作成する理由
USB1に作成した起動メディア(一時的)があるのに、どうして新たにUSB2にも起動メディア(作業用)を作成するのか、とみなさん思ったことでしょう。
理由は、USB1の起動メディア(一時的)では永続化領域を4GByteまでしか確保できないためです。
USB1の起動メディア(一時的)の作成に利用するRufusは、ファイルシステムとしてLarge FAT32 または NTFS しか扱えません。
なお、NTFSでフォーマットしてしまうと、MX Linuxを起動することはできなくなります。 USBフラッシュメモリからLinux系OS(MX Linuxに限らず)を起動する場合、NTFSでは起動できないことがほとんどです。
よって、Rufusを利用するなら起動メディアのファイルシステムにはLarge FAT32を使うしかありません。
ただし、Large FAT32は、あくまでも "FAT32" であるため、単一ファイルの容量が4GByteを超えてはならない、という制限があります。 そのため、永続化領域(単一ファイルで管理される)が4GByteを越えることができない、というわけです。
一方、MX Linuxに含まれるツールであるMX Live USBメーカは、Linux向けのファイルシステムである ext4 を利用することができます。 それにより、4GByteを越えるファイルを作成することができます。
USB2の起動メディア(作業用)から起動する(永続化有効)
USB2の起動メディア(作業用)から永続化を有効にしてMX Linuxを起動します。 なお、USB1の起動メディア(一時的)はもう使いません。
新たな標準ユーザの追加と初期の標準ユーザ(demo)の削除
あなたが利用する標準ユーザ(例:"taro")を新たに追加します。
標準ユーザを追加したら、次にシステムの再起動を行います。 起動後の変更点を永続化領域に保存するかどうかを聞かれますので "はい" と答えて差分を保存します。
再起動したら新たに追加した標準ユーザ(例:"taro")でログインし、不要な標準ユーザである demo を削除します。
自分好みにカスタマイズする
自分好みにカスタマイズを行います。 おそらく以下のような作業になることでしょう。
- ソフトウェアの追加と削除
- ソフトウェアの設定を自分好みに調整
- その他の設定(デスクトップ / キーボード / パネル / アプリケーションメニューなど)
- 日本語入力環境を整える





